
Filejoker – バックアップ、それとも共有?
Filejokerは他のクラウドストレージプロバイダーと同様に、デジタルファイルをオンラインに保存するスペースを提供します。しかし、すべてのクラウドストレージサービスが同じというわけではなく、主目的によって適性が異なります。一般的な用途には、個人バックアップ(重要なファイルの安全なコピーを作成して災害からの復旧に備える)と、ファイル共有ハブ(主に他者に簡単に配布するためにファイルをアップロードする)があり、目的は異なります。Filejoker は技術的にはどちらにも使えますが、その機能・制限・設計はどちらか一方に適しています。この記事では、これら2つの異なる用途におけるFilejokerの強みと弱みを探ります。
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基本的な違いの理解:バックアップ vs 共有
- 個人バックアップ: 主目的はデータ保全と復旧です。信頼性、セキュリティ(特に暗号化)、十分なストレージ容量、自動バックアップ、バージョニング(ファイルの以前の状態の復元)、長期保存が重要です。初回のバックアップやリストアには速度も重要ですが、アクセス性とセキュリティが優先されます。
- ファイル共有ハブ: 主目的は他者へのファイルの簡易配布です。高速なアップ/ダウンロード速度、広い帯域/トラフィック許容量、シンプルな共有リンク生成、リンク管理(パスワード・有効期限など)、大容量ファイル対応が必要です。ストレージは必要ですが、主に一時的な配布用で、恒久的アーカイブよりも配布重視です。
Filejokerを個人バックアップに使う場合
Filejokerは重要な個人ファイルのバックアップ先として信頼に足るでしょうか?
バックアップにおける利点:
- プレミアムならほぼ無制限ストレージ: Filejokerのプレミアムプランでは、無制限ストレージを謳っています。大量の写真や動画、システムイメージのバックアップに便利です。
- 災害復旧向けのオフサイト保管: ローカルの故障や火災、盗難などの災害から保護されます。
- どこからでもアクセス可能: オンライン接続があれば、どこからでもバックアップしたファイルにアクセスできます。
- 大容量に対してコスト効率的: 数TB単位のデータを外付けHDDで揃えるより、Filejokerのプレミアム契約の方が経済的な場合があります。
バックアップにおける大きな欠点:
- 自動バックアップツールの欠如: Filejokerは手動アップロード/ダウンロード主体で、IDriveやBackblazeなどのようにフォルダーの変更を監視する専用クライアントはありません。そのため、最新状態を保つには手動で管理する必要があります。
- バージョニングが明確でない: 過去の状態への復元のためのバージョン管理機能が十分に提供されていません。
- 保存期間の制限: 無料では30日、プレミアムでも90日などの保存期間が設定されており、長期保存には適していません。
- デフォルトのゼロ知識暗号化がない: 標準ではユーザー管理型の暗号化が提供されておらず、機密データの場合は自分で暗号化してアップロードする必要があります。
- 信頼性・サポートの懸念: サポートが遅いなどのユーザー報告があり、重要なデータのバックアップには不安があります。
- バックアップではなくダウンロード重視の設計: ファイルマネジメントに特化しておらず、バックアップ専門の柔軟性には欠けます。
結論(バックアップ): 自動・継続的なバックアップ、バージョン管理、長期保存、セキュリティが求められる用途には、Filejokerはあまり推奨されません</strong。専用バックアップサービスの方が優れています。
Filejokerをファイル共有ハブとして使う場合
共有が主目的の場合、Filejokerの実力はどうでしょうか?
共有における利点:
- プレミアムなら無制限のダウンロード速度: これはFilejokerの最大の強みです。共有相手には高速ダウンロードが可能です。
- 待機時間やキャプチャ不要(プレミアム): 無料ユーザーで煩わしい待機やキャプチャを回避できます。
- 同時ダウンロード可(プレミアム): 複数ファイルをまとめてダウンロードできます。
- ダウンロードマネージャ対応(プレミアム): スピードやレジューム機能に対応、安定した取得が可能です。
- 大容量ファイル対応: プレミアムならサイズ制限を気にせず共有できます。
- リンク生成が簡単: アップ後、すぐに共有リンクを作成できます。
- 世界中からアクセス可能: 地域的な制限がなければ誰でもダウンロードできます。
共有における欠点:
- 無料受信者には制限あり: 無料ユーザーや未ログインでは速度制限、待機、キャプチャ、同時ダウンロード不可などの制限があります。
- リンク管理機能が簡素: BoxやDropbox Businessのような詳細な管理(権限・追跡・パスワード保護・有効期限設定)には劣ります。
- イメージの問題: 一部で非公式ファイル共有に用いられる印象があり、ビジネス用途では不安視されることもあります。
- トラフィック制限: プレミアムでもダウンロードトラフィックに上限があり、大量配布時は制限に引っかかる可能性があります。
- アップロード速度はISP依存: 共有元のアップ速度が遅いと、配布がスムーズにいかない場合があります。
結論(共有): 特にプレミアムユーザーが高速・快適な配信を目指す目的では、Filejokerはファイル共有ハブとして強力です。ただし、受信者の環境によっては制限が生じ、リンク管理や信頼性はビジネス向きにはやや制限があります。
結論:強みを生かす使い分け
Filejokerは万能のクラウドではありません。その設計と機能は、明らかにファイル共有ハブ用途に最適化されています。プレミアム会員なら、共有相手に高速かつ妨げの少ないダウンロード体験を提供できます。一方、個人用バックアップには自動化や長期保管、セキュリティ面などで不向きです。Filejokerを選ぶなら、「高速配布」が主目的であることを意識すべきです。それ以外の目的がある場合は、専用のバックアップサービスやセキュリティ重視のストレージを検討してください。
参考文献
- IDriveやBackblazeなど専用バックアップサービスとの比較
- Google Drive、Dropboxなど共同利用プラットフォームとの比較
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